生活応援情報マガジン トチペ 2022年1月号
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画家になったきっかけは?子どもの頃から絵を描くのが好きで、美術部に所属した高校時代。上には上がいると知りながらも、「ただ絵が上手くなりたい」という一心で制作に取り組みました。そのうちに、絵の具を何度も塗り重ねていける油絵の奥深さに夢中になり、大学の洋画コースへ進学。大学院でも絵画芸術を学びました。在学中からコンクールに出品するなど、卒業後も画家として活動しています。絵の題材は何から着想を得たのですか?器に水を張り、映った景色を描く「水鏡」をモチーフにしています。もともとはシュールな世界が好きで、植物もその姿と意味の不思議さに魅かれて描いていました。ある時、雲が水面に映り込んでいるのを見て、風で生じた水面のゆらぎや水底までの奥行きにインスピレーションを感じ、水鏡の世界へ。小さな水の世界と現実とを意識が行き来するような感覚を抱きました。反射する光を重視しながら、植物の姿や枝葉から覗く空のシルエットを表現しています。制作においては、下地作りに時間をかけながらイメージを固めていきます。キャンバス生地の吸収性を調節したり、何色も色を重ねながら最後は白になったり。ザラついた質感を出すために方解末(日本画で使う顔料)を乳鉢ですり潰して使うことも多いです。光の現象としての「白」という色に魅かれているのだと思います。描く時には筆だけでなく、刷毛やゴムベラ、時には穴開きオタマなど、使えるものは何でも使います。絵に向かう時間は幸せで。これからもずっと絵と向き合っていきたいです。現在取り組んでいること、今後の目標は?幼稚園の造形教室やカルチャースクールの講師をしています。軽々と想像を越えてくる子どもたちや大作に挑む大人たちに刺激をもらっています。7月の個展に向けて、これまで題材にしてきた世界から少しずつ視野を広げ、森や街並みなどもっと奥行きのある世界も描いてみたいです。絵を描き続ける上で苦労することも多いですが、自分にとっては天職。今後も各地で作品を見ていただきたいです。【取材日:2021年12月3日】CMYK動かない話もしない植物は自分にとって未知のもの。光のベールに包まれた美しい絵は、水鏡を通して見えた植物たちのシルエット。引き込まれるような絵を描く画家・薄井隆夫さんにインタビュー。画家 薄井隆夫さん〈Profile〉宇都宮市出身・在住。筑波大学芸術専門学群洋画コース卒業、修士課程芸術研究科美術専攻修了。県内外で展覧会を開催するほか、ギタリスト・小川倫生氏のアルバム「PROMINENCE」へ絵を提供。柏市文化フォーラム104大賞展TAMON優秀賞(1993年)、第5回宇都宮エスペール賞受賞(2006年)。〈Information〉展覧会日時:7/9(土)~15(金)10:30~18:00場所:ギャラリーファンタジア(佐野市高萩町463-2-C-101)Twitter @auau16161「箱庭の畔から」「コトトモノノマ」FILE 14641トチぺちゃほっとArtistのページが好きです。これからも楽しく拝読します! Nさんありがとうございます。「これだ!」と思うものに出逢ってその道に進むってすごいことだなと思います。

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